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浮世絵小学校





「美湖、帰ろー!」
「ごめん、今日小学校寄ってくから先帰ってて!」

いつも一緒に下校している子に声をかけられるが謝りながらかばんを持つ。私もさっさと帰りたかった。ちなみに、今日は職員会議があるから部活はなし。誰かしら先生がいなければ部活はできないのである。

「小学校?どうして?」
「私6年生の時アルバム委員だったんだけどさ、今日それを小学校まで取りに行かなきゃいけないんだ」

浮世絵中学校へ通っている浮世絵小学校出身者は学区が重なっているからほぼ大半。来ていないのは私立へ行った人くらいだ。だから卒業アルバムは卒業した後に配る。卒業式の写真も載るしね。んで、私は言ったとおりアルバム制作委員会に入っていたためそのアルバムを取りに行かなくてはいけないのだ。はっきり言おう。めんどくさい。





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「えぇぇえ、まだ来てないぃ?」
「途中でトラブルがあったらしくてな。また明日来てくれ」

小学校に着いて職員室に行き、当時担任だった先生に話し掛ければそんな答えが帰ってきて。

「明日部活あんのに!!」

うおお、と頭を抱えれば先生に苦笑されて。全く、最悪だ!!

「そういえば花開院、剣道で良い成績残してるらしいじゃないか」

そう、私が所属しているのは剣道部。元々剣道は経験があるからそこに入った。部員数は少なく、それに経験者ともなればレギュラーに入れられるのは当然で。

「団体戦だから私の力で勝ったわけじゃないし」

まあ、そういうわけである。大した仕事はしていない。

「じゃ、今日は帰りまーす」

さっさと帰って寝よう。今日はそういう気分。
職員室を出て校門に向かえばちょうどバスが。ラッキー、これで家まで楽々帰れる!気分も上々でスキップをしそうな勢いのまま歩く。すると、

「あれ、リクオとカナちゃんじゃん」

前方によーく知った人を発見。カナちゃんとはリクオと同い年の可愛い女の子である。

「美湖ちゃん!どうして小学校に?」
「アルバム取りに来たんだよー。まだ届いてなかったんだけどさ」

タタタ、と駆け寄ってきたカナちゃんの頭を撫でながら言う。ほんと可愛いなぁ、とほわわんとしていると。

「美湖ちゃんも言ってよ!リクオ君がバス乗らないって言うの!」

その言葉にリクオへ顔を向ける。だかしかしリクオは私から顔を背けて。昨日の変なリクオは、やっぱり学校が原因か?と首を捻った。

「カナちゃん、男には色々あるのさ」

言いながらカナちゃんの背中を押してバスへ向かう。

「リクオ、今バスに乗らないのはいいけどちゃんと家まで帰るんだよ。みんな心配するから」

ぽんぽん、とリクオの頭を撫でてリクオの横を通り過ぎる。リクオが帰ってこないとなるとみんなすっっっごい心配するだろうなぁ。まあそんなことあれば私も心配するけどさ。

「じゃーね」

手を振りながら言えばリクオは手を振り返してくれた。




 


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