「あら、瑠璃の彼氏?」 「いや、違うよ」 「いつまでも作らないのかと思ってたらこんなカッコイイ人捕まえちゃってたのね」 「違うってば」 「気の利かない娘でごめんなさいね。お名前は何て言うの?」 「聞けよ」 とりあえず母さんに報告しようとリビングに行けばなんか勘違いをはじめて。全く話を聞かない母である。友達にはこの親にしてこの子ありだよね、と言われたんだけど。私こんなひどくねーぞ。 誤解を解くためにつらつらとアニキの身の上を話す。異世界からやってきたことなどを。アニキは私に任せきっているのか何もしゃべらない。…普通はそんな突拍子なことを言っても信じない人が多数だろうが、幸か不幸か母さんは少数派だった。 「あらまあ、大変だったわねぇ。じゃあ帰れるまではうちにいなさいな」 …こういう母親なのである。まあ16年も一緒にいるんだからこういうことを言うだろうとは予測がついていたけど。しかしアニキはもちろん驚いたようで目を見開く。うん、普通の反応だ。アニキは常識人! 「わりぃな。よろしく頼む」 じゃなかった!!ほんと冷静だよこの人!イメージと全然違う!肝っ玉座りすぎ!さっきからほんとすごいわ。尊敬する。 「ここで住むからには元親君はもう家族よ。気軽にお母さんって呼んでね」 「……嫌な時は嫌っていいんですからね」 何を言っているんだこの母親は。そう白い目を母さんに向けながらアニキに言う。最初はいいこと言ってたのにサ!そんな私の思いをよそにアニキはクツクツ笑っているんだけど。 「あら、もうこんな時間。母さんお仕事行ってくるから。元親君、瑠璃のことよろしくね」 「普通逆じゃね?」 そんな私と母さんのやりとりにも笑いつづけるアニキ。それを見て母さんも微笑み、仕事場へと向かった。 「そーいや、嬢ちゃんの名前瑠璃っていうのか?」 「ああ、はい。自己紹介まだでしたね。榊瑠璃です。瑠璃って呼んでください。お母さんが言っていた通りうちに寝泊まりするからには家族なんですから、遠慮は不要ですよ」 お母さんと同じようなことを言う私に、兄貴は面食らったような顔になった。 抗えば綺麗と云われましたか (なら俺のこともアニキだなんてよばなくていいぜ) (え、じゃあお兄様?) (なんでだよ!!…元親でいい)ニカッ ((やっぱアニキとお呼びしたいです!!)) [←] [戻る] |