[携帯モード] [URL送信]






うわぁ、誘ったはいいけど何を話せばいいのかわからねぇ。テニスコートから教室までは、案外長い。その長い間で何か一つは話せるだろうと思ったけど、もしかしたら無理かもしれない。そりゃそうだよな。今まで一言二言しか話したことのないただのクラスメイトだったんだから。つーかなんで誘っちまったんだよ俺!とりあえずなんか話しかけろ!


「ゆ、ゆゆゆ、ゆき、むら?」


うわぁ、やっぱ呼び捨てにするのは抵抗ありすぎる!なんかむしろ部長に呪われそうだ!じゃあ幸村さん?無理だろ、俺のキャラ的に!
そんな俺を見て、幸村部長の妹(長いがこれが安全地帯だ)がクスリと笑った。


「椛、でいいよ」

「は?」

「私の名前。幸村って呼びにくいでしょ?……切原君が良かったら、だけど」


馴れ馴れしいよね、ごめん。そう段々顔を下げていく幸村部長の妹と驚いて足を止める俺。


「切原君、どうしたの?」

「椛、」

「へ?」

「って呼んでいいのか?」


そう言うと幸村部長の妹、もとい椛は段々顔を上げて綻ばせていく。こんな可愛い顔見せてくれんなら何回でも名前呼んでやるよ、だなんてクサいことを思ってしまって。


「でもそれじゃあなんか俺だけ馴れ馴れしいみたいだからお前も俺のこと名前で呼べよ」

「えーと、赤也、君?」


名前知っててくれたのか、とかニコニコしながら言う椛が可愛すぎだとか。なんか色んなものが込み上げてきて赤面する俺。
ああ、これは。簡単に椛を可愛い可愛いと思う理由がわかった。
惚れたんだ、椛に。
彼女は部長の妹だなんて最悪なポジションにいるがそれもまた面白い。どうせあの化け物達(柳先輩も可愛がってるむたいだったから達、だ)はぶったおす予定なんだから。
ニコニコと花を咲かせたかのように微笑む椛の頭をぐりぐりと撫でて新たな目標を立てた。






END



 

[前へ][次へ]

6/7ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!