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取り柄がない?そんなの自分が一番よくわかってるよ。でも思い上がってるとは思わない。お兄ちゃんは、本当に私のことを想ってくれてるから。…でも、やっぱり兄離れはしなきゃいけないのかなぁ。
恐怖と悲しみが積み重なって涙が込み上げてくる。こんなところで泣いちゃダメ、と自分に言い聞かせていると聞き慣れた声が聞こえた。
蓮二君、だ。蓮二君はお兄ちゃん繋がりでよく可愛がってもらってる。それこそ、思い上がりかもしれないけど。


「……赤也、こいつを泣かせると大変なことになるぞ」

「は?」

「俺が先に来て良かったな」

「は?」


蓮二君の言葉にひたすら首を傾げる切原君。それがなんだかおかしくて涙が引っ込む、と蓮二君に頭を撫でられて。


「泣くな、精市がくる」

「な、泣いてなんかないよ」


ギリギリセーフだったけど、という言葉を飲み込むと蓮二君にフッと笑われ頭を撫でられつづける。ほんとうに、蓮二君は美人さんだ。お兄ちゃんには負けるけど。


「フフフ、誰が俺の可愛い椛を触ってるのかと思ったら蓮二か。他の奴ならぶっ殺してたよ」


気配も何もないまま現れ、なんとも物騒な言葉を発したお兄ちゃんにびしりと固まる。蓮二君の手は止まったし、切原君なんて冷や汗をダラダラと流しているようだ。


「椛、どうしてここに?」

「え、あ、お弁当置いて行っちゃたからお母さんに持って行ってってたのまれ、ぶぇ!?」


なんとも女らしくない叫び声を上げたがそれはしょうがないことだ。急にお兄ちゃんに抱きしめられたから。




 

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