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「何?ファンはここまで入ってくるなって副部長がいつも言ってるはずなんだけど」


目の前には同じ学年どころか同じクラスでありテニス部レギュラー唯一の2年生の切原赤也君。なんか試合中にでびるか?とかなんとかするって聞いたことがある。そんな切原君が私の目の前で、私と一対一で、私を睨んでる。やばい怖い、泣きそう。
私の短い生涯はたった13年で終わるらしい。さようならお母さんお父さん、お兄ちゃん。

地獄はお母さんの言葉一つで始まった。そう、たった一言だ。「精市がお弁当持って行くの忘れたから持って行ってあげて」、と。お兄ちゃんが忘れ物するなんて珍しいな、と思いつつも「うん」と簡単に返事をしてしまった。私のばかやろう。
私の兄は幸村精市、立海大付属中が誇る天下無敵テニス部の部長様である。
もちろんそんな人が私の兄であることは私の一番の自慢だ。反して私は得意なことなんか特になくて料理部なんていうなんとも楽そうな部活に入っているような人間だ(つまり料理以外は人並み)。それでも両親はそんなの比較しないし、お兄ちゃんは私のことを可愛がってくれる。…まあ何が言いたいかというと私はお兄ちゃんが大好きだっていうことなんだけど(ブラコンだって言われても構わないよ!お兄ちゃんはほんとにかっこいいんだから!)。
でも、それでも困ることがあるわけで。


「おい、なんか言ったらどうなんだよ」

「いや、だから私は幸村精市に用があるだけで…」

「はっ、部長を呼び捨てにするとかお前何様?」


………妹様です。
さすがにそんなことを言える雰囲気ではなかった。
助けて、お兄ちゃん。





 

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あきゅろす。
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