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「金ちゃあああん!!」

日曜日の午前中、休憩に入ったその瞬間。ぼすん、と四天宝寺中テニス部一小さい少年の懐に何かが飛び込んできた。それはとても小さい女の子。

「椛やないか!」

金太郎と金太郎にくっついている少女を見てただごとじゃなさそうだと思ったレギュラー陣はわいわいと集まる。

「あんな、おかんにたのまれたん!金ちゃんおべんとーわすれてってしもうたからもってったりー、て!」
「!気づいとらんかったわ!椛、おおきに!」
「おん!」

小さい二人が戯れあうのは非常に和む風景だ。しかもこの男しかいない所では。
しかし和んでる場合ちゃうやろ、と真っ先に我にかえったのは流石というべきか、部長、白石である。

「金ちゃん、その子は?」
「わいの妹や!椛いうねん!」
「椛です、よろしゅう」

ニコニコと笑う椛を見るレギュラー陣は確かに金太郎の血を受け継いでるな、と確信した。

「椛ちゃんはいくつなん?」
「むっつ!ことし小学校にはいったん!」
「小学校楽しいか?」
「むっちゃ楽しい!」

あんなあんな、ゆかちゃんがな、と白石に一生懸命、ニコニコしながら話す椛を見ているレギュラー陣は、破顔。かわいすぎる。ちなみに椛に弁当を渡された金太郎はそれを食べている。
そこで白石以外のレギュラー陣はハ、と我にかえる。白石の顔面がかつてないほどだらしなくなっているのだ。しゃがんで椛と視線を合わせながら頭を撫で、質問事項は父親がするようなもの。オチたな、白石。誰もがそう思わずにはいられなかった。



「キモいっスわ部長」



財前だけが、素直にそれを口にした。







 


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