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やっぱ無理、怖い。
それが私のテニスコートへ限りなく近づいた時の(っていうか今現在の)感想である。
何故来たかって、それは亮君がものすごく不憫で可哀相だったから。それにその原因は私の兄。慈郎を起こすだけならしょうがない、行こうと思ってしまったのだ。…私のバカ。


「こっそり慈郎起こしてこっそり帰りたいんだけど…」


あれは一体なんなのでございましょうか。そう言いながら慈郎のねっころがっているベンチの周りにたむろし、レギュラージャージを着ている人々をふるふると震える手で指差す。わりぃ、と謝る亮君には申し訳ないが帰らせていただこう。
くるりと踵を返そうとしたが、一番目立っている人物と目が合ってしまった。そう、あのよくわからない派手な男、跡部なんとか。どうしようどうしようどうしよう!ダラダラと止まらない冷や汗に鳴り止まない警報の音。そしてそんなのを気にせず私を引っ張っていく岳君。このやろ、絶対にもう勉強教えてやらないから!
そんな心の中の言葉はほとんど、というかむしろ100%意味がなく、慈郎の元へたどり着いてしまった。


「跡部!こいつがジローの妹の椛だぜ」

「…どうも」


岳君に腕を引っ張られて渋々頭を下げて挨拶をする。チラチラという視線ならいい、それならすごくいいのだ。私は今、がん見されている。特に跡部なんとかに。そんな私は亮君にチラチラとヘルプ!と視線をやる。


「お前ら退けよ。椛がジロー起こしてくれっから」


ありがとう亮君!と心の中で叫びニコッと笑みを向け、慈郎へ一方近づいた。





 

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あきゅろす。
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