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「あれ、亮君に岳君。どうしたの?」


いつものようにテンションの高い岳君といつもより幾分か疲れた様子の亮君が私のところにやってきて首を傾げる。亮君、また苦労するようなことがあったんだ。ご愁傷様です。原因が兄にあることなんて知らない私は気の毒そうに亮君を見た。
それにしても、放課後に私のところに来るなんて珍しい。休み時間に教科書借りに、なんてことや部活が終わった後に慈郎が二人を引き連れて来る、なんてことは多々あるから久しぶりに顔を見た、というわけではないんだけど。まだ部活は始まっていないか、始まってすぐか、なんて時間に二人が来るのは本当に珍しいのだ。二人とも部活大好きだから。あ、慈郎はいつでもどこでもやってくるけど。
そんなこともあってか、私には悪い予感しか訪れなかった。


「わりぃけど……テニスコート、来てくれねぇか?」

「やだ」


申し訳なさそうに言う亮君を一刀両断。亮君はただ巻き込まれただけで、貧乏くじを引いたのだとわかってはいるがここは譲れない。ごめん亮君!


「お前ほんとそういうところジローにそっくりだよな…」


げっそり言う亮君に苦笑い。
性格は正反対、容姿は似ても似つかない。一緒なのは髪の毛だけ。二卵性とはいえ、男と女とはいえ、双子なのに似てなさすぎなんだ、私たちは。私や両親すら慈郎と似ているとは全然言わないけど、亮君だけは私と慈郎が似ていると言う。謎だ。


「連れていくのはもう決定事項だけどな」


あっけからんと言い放った岳君に若干殺意が湧いたけどそれは仕方ないよね!悪くないよ私!


「…とりあえず、理由だけ聞いとくよ」

「ジローが全然起きないのに跡部がとうとうキレて、起こす方法はないのかって聞かれてな」

「…ごめん、もう続きが予測できるわ。それで岳君が私の存在をバラした、と」

「あぁ…」


うなだれる私と亮君、ニカッと笑っている岳君。温度差がありすぎだ。





 

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