変わらない事
「なんていうか、うん…本当に心臓に悪いね君は……」
「前は平気でしたよね」
「中学の時はいつでも黒子君が側にいる、くらいの気構えでいたからね。今はそんな気構えしてなくて」
だからビビったんだよ、と続ける。
…そんなことよりも、黒子君には色々聞きたい事があった。全中のこと、全中のあとのこと、みんなのこと。でもそんなことを聞けるほど私の肝っ玉は据わっていない。だから、ただただ今まで通りに接することしかできなかった。
「黒子君、おっきくなったね。前私ぐらいじゃなかったっけ?」
「そこまで小さくありません」
「…それは暗に私がチビだとけなしてる?」
わかってるよ、私がチビなことぐらいさ!中学の3年間ほとんど伸びなかったもん。元から小さい上に。
ムスッと唇を尖らせると黒子君はそれにクスリと笑う。
「舞さんは変わりませんね」
その言葉にぴたりと止まる。…変わってないのは、私だけだから。私だけだから、怖いんだ。置いてきぼりにされているみたいで。でも、みんなが変わっちゃったことも怖くて。つまり、私と一緒にみんなに変わらないでもらいたかっただけだ。そんなことありえないのに。
「黒子君は、変わった?」
「………」
つい不安を押し付けるように言ってしまう。それに後悔しながらも、顔をうつむかせて黒子君の言葉を待つ。
すると、頭にぽん、と心地好い感覚。
「人間は誰だって変わりますよ。舞さんだって、変わったところはあります。それでも……もちろん変わらないところもあります」
「変わらないところ?」
「バスケが好きなことですよ。僕も舞さんも、他の人達も」
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