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魔法のパス回し





「(っ取られたか!)」

ジャンプボールで試合が始まる。高く上げられたボールは相手チームが叩いてそのまま相手にボールが渡る。速攻をかけてくる相手に先取点を取られないようにすぐに走った。

「(っ速い!)」
「へぇ…」

ボールを持っている人に張り付いた私は、抜かれそうになってもなんとか持ち前の敏捷性で抑える。私あんまDFは得意じゃないんだけどなぁ!と思いながらも集中すると相手に一瞬のスキが生まれてすぐさまそのボールを取る。

「っ!!」
「スティール!?」

そのままサッと1人かわして前に躍り出る。ダムダム、という音に浸りながらやっぱりバスケ最高だ!とにやける私。しまった、周りから見たらそれ変態じゃん!そんなことを考えているとまた1人私の前に来てドリブルを右手から左手に移してくるりと回りかわす。うし、鈍ってないみたい!しかしそんなに上手くいくわけもなく、

「っ2人、ね!」

さすがに2人一気にかわす技術は持ってないんだよねそれが!と思い、笑みを作ってフェイントをかけながらパスを回す、と。

「!!」

スルリと仲間に決めてもらえた。うん、やっぱり私はパス回す方が好きだ!



■□■□■□■□■□■



「22−16、ね」
「つっかれたっ!!」

うわぁ、まさかここまで疲れるとは…。さすがに先輩たちはうまいなぁ。

「舞ちゃんすごいねっ!」
「へ?」

同じチームだった子にぽん、と肩を叩かれて振り向くと満面の笑みを浮かべられていて。なんか照れる。

「なんかね、魔法のパスってかんじだった!」

おおう、そんなこと言われると照れますよ!と顔を赤くしていると部長さんが集合をかけた。

「お疲れ様!今日1年生はここまで。明日改めて入部届を承ります。他の部活がいいって子は遠慮なくそっちいってね!」

…部長さんは笑顔でそう言っていたけど、なんとも…怖かった。




 

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あきゅろす。
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