「舞ちゃんいつもがんばるねー」 「みんなが手伝ってくれるおかげだよー」 今私がいるのは調理室で、話している相手は調理部の子。なぜかって、それは部活のための、燃料補給のおにぎりを作っているからである。 今までは人手が足りなくてやってなかったけど、私が入ったことでリコ先輩が調理部と話をつけてくれたらしい。とはいっても調理部の人達はみんな優しくて、二つ返事で了承してくれたらしいんだけど。 おにぎりを作るのも、いつも手伝いをしてくれる。大量に作るからね。私とて、別に料理ができるわけではないけど、さすがにおにぎりぐらいは、ねぇ。おにぎりすら作れない人を今まで見たことがない。幼稚園生だって作れるぞ! 「よし、これで終わり!」 「今日は早く終わったねー」 「いつもありがとね!」 おにぎりをクーラーボックスに詰める。今日の具は、鮭だ。 「あ、舞ちゃん終わったの?」 「うん」 「ごめんね、手伝えなくて」 今来た調理部の子が手を合わせながら私に謝って来るが、頭をぶんぶん横に振る。 「そうそう、今モデルの人が来てるらしいよ!」 「へぇ?」 冷蔵庫に入れてたドリンクもクーラーボックスに入れながら、相槌を打つ。 「舞ちゃんちっとも興味なさそうなんだから!」 「や、私モデルやってる友達いるから」 イケメンのね、とつなげればうらやましい!と言いながら一緒にドリンクをつめてくれる。優しい子だ。 「じゃあ、明日もよろしく!」 「うん、待ってるね!」 「もう調理部入っちゃえばいいのに舞ちゃん」 最後の言葉に苦笑いしながら、クーラーボックスを肩にかけた。相変わらず、重い。 黄瀬君、元気だろうか。 [NEXT] [戻る] |