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黒子の力





「やっぱり強い…」
「てゆーか勝てるわけなかったし…」
「もういいよ…」

一年生たちのその言葉にムッとしながらも交代してベンチにきた人達にドリンクとタオルを配る。本来なら先輩たちに先に渡すんだけど、リコ先輩に1年の方が疲れてるだろうから先にそっちに渡して、と頼まれたのだ。というか先輩たちは交代していない。

「もういいって…なんだそれオイ!!」

仲間の胸倉を掴む火神君に、ため息をつく。短気は損気だぞ。

「落ち着いてください」
「……!?」

いきり立つ火神君に膝かっくんをやってのけた黒子君に、みんなが黙り込む。ぶふっ、火神君アホ面!

「すいません。適当にパスもらえませんか」
「は?」

そんな声が聞こえて、ニヤリと笑う。あと3分、間に合うかな…?
6番から、ボールが黒子君に渡る。そしてそれを、

バスッ
「…え」
「……な、」

9番がシュートした。

「入っ…ええ!?今どーやってパス通った!?」
「わかんねぇ見逃した!!」

うわお、久しぶり過ぎるからか黒子君が上達したからか、私も見逃したわ。さすが。最高の、シュガーだ。
その後も何度も何度も黒子君が敵を翻弄し、点差を狭めていく。まだ、慣れない。

「どーなってんだ一体!!?」
「気がつくとパス通って決まってる!?」

コートに立っている人達も、リコ先輩も。みんなが黒子君の力に圧倒されている。
これで火神君もわかっただろ、と思っていれば、ボールは彼の手の中にあり、

「うわあ!信じられんねェ!!」
「一点差!?」

得点は、36−37
快進撃っていうのはこういうことをいうんだろうなあ。

「ったく、どっちか片方でもシンドイのに…」
「っち!!」
「バッ…」
「しまっ!!」

先輩が焦ってパスをした方いたのは、黒子君。

「うおお!!」
「いけえ、黒子!!」
「勝っ…」
ガボン

ドリブルし、レイアップを決めようとした黒子君が持っていたボールは、リングにぶち当たって外に出る。が、

「……だから弱ぇ奴はムカつくんだよ、ちゃんと決めろタコ!!!」

火神君が、ダンクを決めた。





 

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