「ごめん、急に引っ張ってきちゃって」 「いえ、助かりました。ありがとうございます」 人が少なくなってきたところで止まって私の腕を放した救世主さんは、困ったように頭を掻いて謝ってきた。謝る必要ないでしょ!と慌ててこっちが頭を下げる。 「バスケ部マネージャー希望、でいいんだよな?」 「はい!あ、じゃあ先輩はバスケ部なんですよね?」 「ああ、俺は2年の伊月俊。よろしく」 「神崎舞です。よろしくお願いします!」 ニコニコと笑いながら自己紹介すれば伊月先輩も微笑んでくれて…私の頭を撫でる。なぜだ。 「なんかちょうどいいところに頭があって…」 それって私がちびってことか、とムッとして口を尖らせると伊月先輩はクスクスと笑いながら再び私の頭を撫でる。そして、 「なんか犬飼いたくなってきた」 爆弾を投下。 そうかいそうかいそんなに私はちびですか!と本格的に拗ねはじめる私。でもやっぱり伊月先輩はクスクス笑っていて。 「バスケ部んとこ、行く?」 「………行きます」 拗ねたままで行かないなら置いていく、そんな響きが含まれていたため渋々伊月先輩の後ろにくっついて歩きはじめた。 [RE][NEXT] [戻る] |