「舞ちゃんは部活入るんスか?」 放課後になって鞄に教科書をつめていると(といってもほぼ置き勉)黄瀬君に話しかけられてくるりと振り向く。あ、黄瀬君は私の後ろの席ね。出席番号前後だったので。 「うん、入るよー。黄瀬君は?」 「入らないっスよ」 「えー、もったいないな。仕事で?」 「はい。落ち着いたら考えてみるっスけど…」 黄瀬君がどうせどこにも入らないだろう、だなんて考えていることを知る由もない私はもったいないなー、と黄瀬君を見る。なんか運動神経が並外れてそうなんだよね、黄瀬君。この身長だし。 「おっと、もうこんな時間だ!じゃあ行ってくるね、黄瀬君。バイバイ!」 「ってそういえば何部なんスか!?」 鞄を持ってもうドアの所まで来ていたけど黄瀬君の問いに足を止めて振り返った。 「バスケ部だよ!」 ■□■□■□■□■□■ 「うわっぷ!」 「うわ!?」 ダダダダダ、と効果音がつくほど…でもないか。うんまあとにかくダッシュして体育館へ向かっていると顔面が何かに衝突して尻餅をつく私。事故りました。 「いてて…ごめんなさい、急いでたもんで…お怪我は?」 「いや、お前こそ大丈夫か?」 私が一方的にぶつかったのになんて優しい人だ!とがばりと顔を上げると身長のたかーい男の子が。ちらりと上靴の色を見て学年を確認すると同学年だった。良かった。 「鼻血は出てないから大丈夫です」 「そこ基準かよ!」 手を差し伸べてくれた男の子に甘えて立たせてもらうと彼との身長差がもっと明確になる。うわ、黄瀬君よりおっきいかも…! 「お前1年だよな?」 「うん。君もだよね?」 「おお。俺は青峰大輝。よろしくな」 「私は神崎舞。よろしくね」 なんでぶつかっただけで自己紹介初めてよろしくしようとしているんだろうか、私たちは。ま、いっか。友達増えるのはいいことだもんね! [RE][NEXT] [戻る] |