みんなの(といってもたった3人だけど)言うことを無視してやってきたのは県営体育館。もちろん見に来たのは男子バスケ部である。 今はどこの部活でもちょうど総体の地区大会が終わり、県大会に入ったところだろう。現に男子バスケ部がそうだ。女子バスケ部も県大会に上がったらしいが見に行く勇気は、ない。 でもバスケが好きなのにはかわりはないし、もうすぐでこのチームも解散になるから(どうせ全国まで行くんだろうけど)見に来たのだ。 「何、これ…」 しかし、みんなのバスケを見て唖然とする私。それは私の知らない、嫌いなものだった。 みんな無表情でただただボールをつきゴールを目指す。相手にも仲間にも目をくれず。信頼もへったくれもない試合構成。勝とうとするのではなく勝つのが当たり前。バスケが楽しくない。そんな感情が、一瞬で悟ることができるほど酷い。表情を苦痛に歪めているのは黒子君とさつき、ただ2人だけ。 なんだこれは、なんだこのバスケは、なんだこの人達は。 相手だってやる気がない。何、負けることが当たり前だと思ってるの?バスケが辛い、ただそれだけなの?戦意喪失している相手にすら怒りが増す。 どうして私が失ったバスケをこんなにしてる?どうしてわざわざつまらないバスケをする?どうしてどうしてどうしてどうしてどうして。 私は逃げた。 バスケから、みんなから。 [RE][NEXT] [戻る] |