中3夏 部屋中を掃除していると、コロッと丸い物体が出てきた。バスケットボール、だ。どうしてこんな大きい物が急に出てきたかは謎だけど。……見たくないって思ってたけど、もうバスケなんて嫌いになったと思ってたけど、そんなの無理だ。使いすぎて表面に凹凸がないボールを持ってそう感じる。バスケを嫌いになんてなれない。 「はぁ、」 もう長いことバスケを見ていないし、やってもいない。軽くならできるけど。バスケ部にも全然顔を出していない。やっぱり部活を見るのはまだ辛いから。それに何故かさつきや黒子くんには試合を見にくるな、と言われた。 それなら、とボールを持って勢いよく立ち上がる。ちょっとだけ、やってこよう。 ■□■□■□■□■□■ 耳にはいるのは大好きなボールが跳ねる音、目の前にはバスケットゴール。そして、手にはバスケットボール。家から10分歩いたところの公園にゴールがあるため、私はそこに来ていた。 適当な位置に立ってドリブルをしている左手を止めて、シュート。 「ナイッシュー!」 「、青峰君!」 すぱっとボールがリングに入ると後ろから声が聞こえて振り向く。するとそこには青峰君がいて、満面の笑みを作っていた。 「バスケ、やる気なったのか?」 「やる気になったっていうか、」 青峰君がボールを拾ってそれを私に投げてくる。なんとかキャッチをしながら言葉を探す。 「やっぱりバスケ大好きだって、嫌いにはなれないなって思っただけ。」 …考えても結局これって、私の国語力はどんだけ低いんだろうか。自分の頭の悪さにちょっとショックを受けていると青峰君がククク、と笑っていて。ムッとしながら何で笑ってんの、と聞くと、 「ワリーワリー、入部した時のこと思い出したんだよ。お前のアホっぽい宣言のこと」 まだ覚えてたのかよこのやろう!はずかしいな!と拗ねると青峰君に豪快に笑われて、さらに頭をくしゃくしゃと撫でられる。 「やっぱお前はその方がいいな」 [RE][NEXT] [戻る] |