夢中になれることを
「黄瀬くーん!!」
「舞ちゃん!」
ダダダ、と男バスの方へ向かって走り(奇跡的に男バスも休憩中だった)黄瀬君に手を振る。するとそれに気が付いた黄瀬君は破顔して。…隣には何故か青峰君。
「どーしてここに?青峰君に喧嘩売られたの?」
「てめーの頭ん中はどうなってんだよ!」
黄瀬君に聞いたのに青峰君に頭をグリグリやられて怒られる。てか今青峰君は口つっこむな!
「違うっスよ。…えーと、バスケ部入ろうと」
苦笑しながら言う黄瀬君にぽかんとだらしなく口を開ける私。え、今なんて言った?入る?バスケ部、に?
「ほんと!?」
「はい。夢中になれること、見つけたんス」
「っっっ嬉しい!!」
やったやったやった!と黄瀬君の手を握ってぶんぶん振る。黄瀬君が夢中になれること見つけてくれて、なおかつそれがバスケだなんて!
「今度一緒にバスケやろうね!」
「(こ、ここまで喜んでくれるとは)」
にへへー、とかつてないほど満面の笑みを作る私に黄瀬君も青峰君も硬直している。まあもちろん私はそんなこと気にせずに黄瀬君の手をぶんぶん振り続けているんだけど。
「っつーか何!?お前ら知り合いだったのか!?」
いい加減我慢の限界がきたらしく、青峰君が私と黄瀬君の手を離す。
「去年同じクラスだったんだよ」
「ていうか舞ちゃんと青峰っちは、」
「青峰っち!?」
「あ、尊敬してる人にはつけるんスよ」
「嫌だなオイ!」
ぷぷ、青峰っちかぁ。今度私も呼んでみよっかな。と青峰君を見ながらニヤニヤ笑っていると黄瀬君にじっと見られた。
「で、舞ちゃん!青峰っちとはどんな関係っスか!?」
どんな関係、と言われましてもねぇ。首を捻りながら考えていると青峰君と目がぱっちり合って。何故か青峰君は真剣な面もちをしていた。いや、そんな顔いらないからなんか言ってよ。
「うーんと…ライバル?」
「は?」
「へ?」
うん、これがしっくりくるな!と言うとまた2人はフリーズした。そして先に動き出したのはまた青峰君。
「……って舞お前俺には全然及ばないだろ!」
「う、今までだけだもん!次は勝つ!」
「ハッ、無理だな!」
「すぐに追い越してやるんだからね!ばか!」
「てめぇの方がバカだ!」
「ちょ、オレの前でイチャイチャすんのやめてほしいんスけど!」
っていうかイチャイチャしちゃだめ!と言う黄瀬君にイチャイチャなんかしてない!と怒鳴った。
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