憧れて入部して驚いて
中2春
第64Qの前半沿い
容姿オッケー運動オッケー。勉強もまあオッケー。けど…つまんねーなー。
スポーツは好き…だけどやったらすぐできちゃうし、しばらくやったら相手がいなくなるんだよなー。誰でも良いからオレを燃えさせてください。手も足も出ないくらいすごい奴とかいないかなー。
それに、舞ちゃんとはクラス離れちゃったし。2年上がってから全然会ってない。まあメールはするけどそれだけじゃ足りないんだよなぁ。舞ちゃん不足?ああ、あの笑顔に癒されたい。舞ちゃんってなんかほんと、一緒にいるだけで落ち着くから。
「っいってぇ!!」
舞ちゃんのことを思い馳せていると頭に強い衝撃。なんだこれ、バスケットボール?それを持って振り向くとそこには俺より身長が高そうな色が黒い男。スッゴい汗の量だ。多分同い年だろう。
「ワリーワリー、って…モデルで有名な黄瀬クンじゃん!」
「っだよー」
あまり悪びれた様子のないソイツにボールを投げ返す。バスケ…か。まだやったこと…そーいや、帝光ってバスケかなり強いって聞いたことあるな。それに、舞ちゃんもバスケ部って…。
中を覗いてみるとさっきの色黒いヤツがすごい動きで2人抜いていた。素人目にもわかる、コイツとんでもない。
『黄瀬君も夢中になれること探そうよ!』
ふと去年舞ちゃんがよく言ってきた言葉を思い出す。これだ、夢中になれることは!
「バスケ部入れて…入れてくれないっスか!?」
■□■□■□■□■□■
「はい、休憩!」
「うがー、疲れたっ!」
「うがーって何よ…」
この短時間でどんだけ走らせるんだよキャプテン!と怪獣みたいなうめき声を出し、ムスッと唇を突き出す。下手したら死人出るよこれ!
「ほら、バスケ上手くなりたいんでしょ!」
「ういー」
だらんと床に寝そべっていた体を起こしてちらりと男バスの方に顔を向ける。さつきに愚痴聞いてもらおう、そうしよ………んん!?
「え、ちょ、なんでぇ!?」
「あんたが何よ!」
急にガバッと立ち上がって叫び始めた私の頭をぱしんと叩くキャプテン。だって、な、なんで、
「黄瀬君がいるの!?」
私の言葉にみんなの目がギラつく。そういえば黄瀬君のファンって多いらしい。
「ちょっといってきまーす!」
「!舞ずるい!」
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