[通常モード] [URL送信]

novel
突撃!杜条学園生徒会!!※R15 Dear真己様


バスから下りて,すぐ横に見える高校を見上げる青年。ショートより少し短いブラウンの髪。顔立ちは整っていて,背もすっと高い。爽やか系とはこのことか,と思わせる雰囲気を纏っている。
その後下りてきた人物は,金色の髪を小鳥の尾のように括っていて,見た目から外国人だとわかる。顔立ちは青年よりも整っていて,ハリウッド俳優かと言いたくなるくらい。身長も190は越えているだろう。

「これが杜条学園ねぇ。うちより小さい?」
「校外だからといって,そういうことは言うな。中に入れば尚更だ。」
「了解っ!」

喋ってみれば,外国人は印象が少し崩れるような性格なのかもしれない。青年が呆れたようにため息をついて,もう一度杜条学園を見た。

「さて,乗り込んでやるか。」






「あ,忘れてた。」

書類を机にバサッと投げ捨て,杜条学園の生徒会長-井上和は呟いた。近くにいた会計の藤宮雫がそれを聞いて首をかしげる。

「何をですか…?」
「今日月空学園ってとこの生徒会が何人か来るんだった。」
「ちょ,和くん何やってんの…」

書記である相葉亜衣がひきつらせていた顔を更にひきつらせた。そして問題なのは彼の居場所。ソファに座っている青年の足の間に座っていた。腰をしっかりと抱き締められ,逃げようにも逃げられないようだ。日常茶飯だが,やはりそれは注意せざるを得ない和。雫は興味無さそうに棚に書類の詰まったファイルを片付けていた。

「芦屋ー,そのくらいにしとけよ。俺も雫といちゃいちゃしたいっての。」
「遠慮しときます。」
「和くん,それだけは絶対に許さねぇっ!」
「うっせ亜衣。やっぱそのまんまでいいわ。」
「一体何が言いたいの,和。俺と亜衣の邪魔しないでよ。」

芦屋と呼ばれた青年が,亜衣を捕まえている張本人,生徒会副会長の芦屋有史だ。
全く離れる気がないようなので,和はそのまま放っておくことにした。その方が自分にとっては都合がいい。和はイスから立ち上がり,片付けをしている雫に近付く。雫の頭にぽんっと手をのせ,くしゃくしゃと撫で回す。それをされて雫は和を見上げる。

「悪いなぁ,なんやかんや押し付けて。」
「いえ,何もやらないよりはマシなので…」
「そっか。ありがとうな。」

そう言って,撫でていた頭を引き寄せて,雫を腕の中に収める。それを見ていた亜衣は変な声を上げ,雫は驚いて顔を赤くする。

「せっ,先輩!」
「充電。これから他校の生徒会長に会うんだから,緊張するさ。力くれよ。」

実際緊張など微塵もしていない。雫を少し大人しくさせるための口実だ。そう言えば,雫は仕方ないように和を受け入れる。亜衣は口の端をひきつらせて,怒りを抑えていた。芦屋はそんな亜衣を見てにこにこと笑っている。
その時,生徒会室の扉が叩かれる。
和は雫を離し,来たか,と呟く。解放された雫は顔を赤くしたままほっと息をついた。有史が動じずに亜衣を抱き締めているままなのは,言うまでもない。

「本日はお招きありがとうございます。月空学園生徒会長,榊郁都です。」
「あ,はいはいー。どーぞ。」
「失礼します。」

よく透る声をしている。どんな人だろうと全員の目が扉に向けられた。
扉が開き,"榊郁都"がその向こうから現れた。その青年は,バスから下り,じっくりと杜条学園を眺めていた青年だった。郁都はにこりと微笑み,中に入る。彼のあとに着いて入って来た男性を見て,杜条学園生徒会の全員は息を呑んだ。まるでハリウッド俳優のような格好よさ,スタイルも抜群の外国人男性が,そこに居たからだ。

「私も失礼させていただきます。月空学園生徒会のサポートをしている,教諭のマギア・ファルアンです。」

爽やかな笑顔を向ける生徒会長と,それを上回る格好よさを持つ外国人教諭が来たのだ。全員度肝を抜かれたのは,言うまでもないだろう。







[*back][next#]

8/21ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!