novel 2 「そんなに俺のこと嫌いなのかよ。」 「…呼び出した理由はそれか?」 「そうだよ、悪いか。」 「悪いな、すっごく悪い。俺の時間を返せ。」 「なら俺は飴屋に俺たちの時間を返して欲しいな。つか答えろ、嫌いか?」 「無理だろ。んで、別に嫌いではない。」 拗ねたように目を逸らすベル。怒りたいのはこっちだっつの。 ベルをやっとのことで俺の部屋に呼び出して、今こうして話しているのだが…反応がいまいち薄い。こいつ本当に俺のこと好きなのかよ。嫌いではないって、一番曖昧で欲しくない答えだったのに…!! 「ベル、」 「呼ぶな。何度言ったら」 「アーベル。これなら文句ないだろ。」 「本名も嫌だ。」 「……ならなんて呼べばいいんだよ。」 「普通に呼べ、普通に。」 「俺の普通はベルだ。」 「喧嘩売ってるのかお前は。」 「ベル、」 「だから呼ぶ」 どうにでもなれ、もう…… こんなに調子狂わされてる俺の身にもなれよ、こいつは…。腹が立って仕方ない。 俺はベルの唇を自分のそれで塞いだ。俺はに迫るように口付けをして、ベルは逃げるように後ろへ下がる。けどベルが逃げるのは限界があった。俺のベッドに足がぶつかって、その勢いで、2人してベッドに倒れた。嫌がって首を横に逸らして、俺の口付けから逃げた。 「…っめ、何する…」 「ベル、好きだよ。」 「…バカか?」 「バカだよ。」 「俺は、」 「ベルは、俺のこと嫌い?嫌だった、今のは…?」 「…………嫌、ではないけど…」 「なら、これもいいだろ……」 ベルの服の中に手を滑り込ませる。その瞬間、ベルの身体は強張った。 「おい…っ」 「名前。」 「ん…、はあ…?」 「俺の本名。教えたよな、アーベル…」 「レオン…クレール……?」 「…もっと呼べよ。」 「断る。」 難しそうな顔をしてベルは言う。まぁ、長かったし、そんな顔されても当然か。でも何でだろ。すっげぇ幸せな気分だ。顔が緩んだ。 「…アーベル。」 「何…」 「好きだ、アーベル…」 「…もう分かったから、手ぇ避けろ。」 「断る。」 「ざっけんな海藻野郎……!!」 顔を真っ赤にして怒ってるベル。本当に、からかいがいがある。こんなこと言われるけど、俺としては愛情表現なんだろうなぁと思う。自惚れだろうか。だって罵声浴びてもベルを愛しく思うとか……いや待て、俺Mなのか? 「アーベル、俺お前になら足蹴にされてもいいや。」 「今すぐしてやろうかこの変態野郎…っ!」 「海藻から変態に変わったのか俺は。」 「当たり前だ、つか俺のどこがいいのかわからない。」 「そうだな…、お前のそういうとこが好き。」 「…レオン、本当に変な趣味してんだな…」 ん?…お、いおい……?今、呼んだ? 「な、何……」 「今、レオンって言ったか…呼んだか…?」 ふと回想にでも浸ったのか、ぽかんとした顔をして、じわじわと顔を赤く染めた。わなわなと身体を震わせて、ぶんぶんと顔を横に振り出した。あー、ちょっと待った。これは俺に刺激強すぎた。可愛すぎる。 「よ、呼んでないっ!!」 「呼んだ。」 「呼んでないっ!」 「諦めろ、俺聞いたもんね。」 「呼んでないって言ってんだろ……っ」 「意地張るな、アーベル…」 もう我慢は聞かない。いいだろ、アーベル? 俺が今から、たっぷりと愛を注いでやる。 [*back][next#] [戻る] |