obedient :ミスフー 「お前、そんなマメな奴だったっけ〜?」 ミスタがフーゴの顔を覗き込む。 フーゴはキッチンに立ち、数あるイチゴから丁寧にへたを取り除いていた。 「どうせ自分で食うんだろォ〜? だったらいーじゃねぇかよッ こんな作業」 「僕が食べるんじゃありません。」 フーゴの肩に腕が回り、体重がかかる。 フーゴはそれを物ともせず、黙々と作業を続ける。 ミスタを一瞥もせず、視線を手元に落としたままだ。 「あ、のっ… ナイフ使ってるのがわかりませんか…? 危ないんで、離れてもらえます?」 「じゃあ誰のためにこんなちまっこいことしてんだよー」 「…ナランチャの奴が、食いたがってたんで」 フーゴはいつも、口では刺すような言葉しか吐かない割に、なんだかんだでナランチャに甘い。 飴と鞭、というわけではないが。 「こうしてやらないと、そこらじゅうイチゴのへただらけにされますからね…」 フーゴの指先についたイチゴの紅い雫は、フーゴの白い肌をよりいっそう美しく引き立たせていた。 「お前の指…なんかうまそう」 「何言ってんですか? …というか、そろそろいいかげん、離れろよ」 フーゴの声に怒気がこもる。 しかしミスタはそれに聞く耳を持たず、ぼーっとフーゴにはりついたままでいる。 いつもならここでハイハイと素直になるミスタだが、今日はそうじゃない。フーゴは憤慨よりも先に、違和感を覚えた。 「……ミスタ、何かあったの?」 「別にぃ………………」 「話ぐらいなら、聞いてあげますよ。」 「っていっても…お前はナランチャにばっか気ィ使ってるしなー…」 「そ、そんなことありませんよッ!!」 フーゴが声を上げると、唐突にミスタの手がフーゴの腹部へと侵入してきた。 フーゴはミスタの冷えきった手に驚き、体をびくりと反応させた。 「きゅ、急に…なっ…! っていうかあんた冷え性じゃないのか!?」 「へへっ!じゃあ後で、ちょおっとツラ貸せよな!」 そう言うとミスタはフーゴから手を離し、けたけたと笑いながら居間へと出て行った。 「(なんだ、心配して損した)」 フーゴは呆れ、一人ため息をついた。 ____ なんだ…コレ(∵) 居間っていうのは… 護衛チームはみんなで共同生活を送っているんだろうな…という管理人の妄想から生まれた、何か(?) 誤字脱字あったらすいませェん(´>ω<`) backnext |