◇LIQUID AND SOLID 成長と鼻 「危ない…何だったんだろう…」 呆然と車が消えた角を見つめていると、 タイヤと道路が擦れるけたたましい音を訝しげに思った住人が、窓を開けてこちらを睨んだ。 よく考えればこんなちっぽけな自転車で、あんな音が出せるはずないのだが、 近所だということと、顔を覚えられたくなかったのですぐにそのまま走り出した。 そして、アキが通った後、角の影からゆっくりと黒い車がでてきて、反対方向に消えていった。 ―――――----‐‐ 「かんた、ただいまー…」 部屋の電気をつけながら寝室に向かうと、案の定アキのベットで寝ていた。 うちに来たころは枕より小さかったのに、 毎日フードを沢山食べて、日に日に大きくなっている。 枕と同じくらいになったかんた。 でも、背中を撫でてみても、起きないところとかは全然変わらない。 「かんた…実は柴犬じゃないの?」 体の成長と共にのびてきた鼻を見つめてそう問う。 うーん…でっぱりがかわいくて何度もわしづかみにしたせいかな…? のびて掴みやすくなった鼻をつかみたくてウズウズしながら、しばらくかんたを眺め続けたアキだった。 [*前のゴミ] [戻る] |