◇LIQUID AND SOLID
電話と演奏
ヴー!ヴー!ヴー!
「あーあ……はぁ」
表示を見ると、登録されていない番号だった。
今はリョウの番号しか入っていないんだけど…。
「はい、もしもし」
「あーやっとでた…秋元君?」
「あっ藤本先輩!すいません…ちょっとたてこんでて…」
藤本 美佳先輩。
僕がバイトに入りたての頃お世話になった先輩で、
休んでいる間に僕の代わりをしてくれていた人だ。
「もう落ち着いた?やっぱり秋元君の演奏が評判あって、いつもの子は?って聞かれちゃったんだから」
「すみません…だいぶ落ち着きました、今日から入れますんで……本当にありがとうございます」
「いいのいいの!疲れたりしたらまた代わるから言ってね。今日は6時からだから、よろしくね」
「はい。では……」
プツッ……ッツーツー
バイトでは僕と藤本先輩で一つのシフトを打ち合わせて入っている。
僕は先輩の補佐みたいなものだからだ。
それなのにもう2週間ほど休んでしまっているので、当分は入らなくちゃいけない。
「かんた、ごめんな。これからちょっと帰りが遅くなるけど、ちゃんと帰ってくるから」
はぁ……バイトが入ってしまった…これから少しの間休みは無いだろう。
僕は、高校生らしいファーストフード店やスーパーのレジバイトではなく、
少し格調高いレストランに勤めている。
でも役割は、ホールやキッチンではない。
ピアノ演奏だ。
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