◇LIQUID AND SOLID
不安と安心
ご飯も終わったし、とりあえずは散歩だ。
ハーネスを袋から取り出すと、小鹿のようにかんたが駆けてきた。
「もう覚えたの?えらいね。」
よしよしと頭をなでる。
褒める事ってとても大事だ。
良いことをしても無視するのに、悪い事をした時だけ叱るなんて理不尽だと思う。
きっとかんたも納得できない。
「GOOD BOY!」
表情や声のトーンだってわかってる。
だって僕もかんたの表情がわかるもの。
今も、玄関で寝ていたときより生き生きしている気がする。
「………かんた、僕が靴はくくらい待ってね。」
はしゃぎすぎてガンガン扉にぶつかっていくかんたをリードで抑えながら、元気すぎるのもなぁ…と思うアキだった。
――――――‐‐・・
家を出て森林公園へ向かう。
「………あれ?おかしいな…」
今朝は涼しくて散歩日和なのに、
殆ど人も犬もいない。
この間あんなにたくさんいた子ども達なんて、
一人もいなかった。
一人と一匹でガランとした公園に立っているのが、なんだか怖くなってきた。
いつも賑わっている公園だからだろうか、
誰もいない森は全く違う表情をしている。
ジャリ ジャリ
足音がした。
だが、かんたが動いた様子はない。
あっ人だ!
心細く思っていただけに、人の気配はアキを安心させた。
それに、とても小さいが犬の足音も聞こえる。
ほっ としながら振り返ると、
そこには私服姿のバートさんがいた。
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