◇LIQUID AND SOLID
兄と弟
「アキちゃんか。よろしくな!俺の事は隆太って呼び捨てでかまわないから」
「あっよろしくお願いします。呼び捨ては申し訳ないので隆太さんってお呼びしますね」
結構気さくな人なんだなぁ…。
ぐいぐい押してくるような隆太に、アキは一歩引いた態度になる。
人間関係に馴れていないので、
嫌ではないんだけれど…。本当にいきなり仲良くしてもいいのかな？
と、躊躇してしまうのだ。
「隆太さんか…なんかちょっと固いな〜…。あと敬語もいらないからね」
にっこり…というよりは、ニヤリと笑いながら言う。
何だか、内面の自信というか頼もしさを体現したような人…やっぱりタカと兄弟なんだ…。
「じゃあ…隆太君…とか？」
「うーん…まだ他人行儀な感じ…」
「隆君？」
「あぁ、それがいい！別に隆兄でもいいけどな!なんかアキちゃんって弟に欲しい感じだし」
撫でるように頭をぽんぽんとされて、
兄弟のいないアキはすごくびっくりした。
思わず目をまん丸くして隆太を見上げる。
「あ、悪ぃ！嫌だったか？」
「いえ…僕一人っ子なんで、なんか嬉しくて…僕も隆君みたいなお兄さんが欲しいです」
建て前とかおべっかでなく、本心からすんなりと言葉がでた。
「そうか！じゃあこれからアキちゃんは俺の弟な。困ったことがあれば何でも言えよ？」
「はい、…うん。ありがとう…隆兄」
はにかみながら名前を呼んでみる。
それに嬉しそうに応えようとした隆太を、
ずっとほったらかされていたタカが遮る。
「お」
「そういえばアキは犬飼ってなかったか？」
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