◇LIQUID AND SOLID
告白と笑顔
とりとめもないことを考えながら用意されていたトーストをかんでいると、
母さんが何か言いたげな顔をしていることにようやく気がついた。
「そういや、母さんは何か用があったんだよね?」
「あのね、祐平…。」
母さんは何だか言いにくいような顔をして、
「母さん、海外に行くことになったの。」
僕の感情は順調に溶け進んでいるようだ。
静かな心は波一つたてることなく、平和は乱されなかった。
ただ、 ああ、 ついにか。
と、諦めにも似た…いや違う。
母にも興味が持てなくなったのか…。
と、頭のどこかがつぶやいた。
「義父さんと一緒に?いいじゃないか。僕は反対しないよ。」
何故かこの時固まっていたはずの表情筋が柔らかく動いて、
僕の顔は“笑顔”をつくった。
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