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◇LIQUID AND SOLID
固体とサナギ


「…そうだ、着がえは俺のでいいか?」


「うん、貸してもらう。あのさ…晩御飯作らせてもらってもいい?お泊まりのお礼したいんだ」


「マジか?楽しみだな。実は晩飯、コンビニ弁当だったんだ」


「それなりに家事はしてるから、不味くはないと思う。張り切って作るね!」


「おう。キッチンのもんは勝手に使っていいから。俺は風呂洗ってくるわ」


タカに案内してもらって、僕は晩御飯を作ることにした。


――――――‐‐・・

まずは冷蔵庫の中身を調べる。

「お肉…と、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ…あ!これがあるなら」



アキは鼻歌を歌いながら鍋を取り出した。

そこに風呂洗いを終えたタカがやってくる。

「お、なに作ってくれるんだ?」


「ん〜内緒!タカは先にお風呂入ってなよ」


するとタカはしばらく考えた後、

「……いや、俺はアキの後にはいるわ。風呂長いからさ、俺」


「そう?じゃあお言葉に甘えて先にいただくね。ご飯まだだからもうちょっと待ってね。」


「あと何分くらいでできる?いや、急かしてるわけじゃないけどさ」


「白ご飯炊けるのがあと40分だから、それくらいかな」


「わかった。それまでアキを眺めとく」


「ははっ何それ、なんか緊張するなぁ」


―――――‐‐・・



「ごちそーさん!うまかったぜ、アキの肉じゃが。家庭の味ってかんじ」

「本当?ありがとう。お粗末様でした。」


「本当、今から嫁にきても全く問題ないぜ」


「えぇー嫁?今は主夫もありなんだよ?」


「あぁ夫の方のか。いやいや、アキは嫁だろ。これは決定事項だな」


「もう。からかってばっかり」


「はは、アキがかわいいからだよ」



そうして、夜は更けていきました。


アキの心は少しずつ変化を遂げてゆく、

頑なだったサナギから羽化するかのように。




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