◇LIQUID AND SOLID
傷と男の勲章
「…えっ!………いいの?でも…」
「ああ…親御さんとか心配するか?」
「ううん、僕一人暮らしだから…それよりタカのお家の人に迷惑じゃないかな?」
アキの顔がすこし寂しげになった。
しかしそれを隠すようにすぐ笑顔を作る。
「…っ気にすんなよ!今日はみんな出ていっちまって誰もいないからさ」
「そっか。じゃあお邪魔させてもらうよ。それと…救急セットある?」
「え…アキ怪我したのか!?どこだ、見せてみろ」
そういって調べてくるタカに何故か焦る。
「ちっ違うよ、僕じゃなくてタカ!まだ手当てしてないじゃないか!」
ぐいっとタカを押し退けると、怪我にさわってしまったのか眉が下がった。
……なんだか残念そう?そんなわけないか。
「あーそんな大した怪我じゃないし。」
「駄目だよ!せっかくかっこいいのに傷が残ったらどうするの!」
思わず大きな声をだすと、タカは鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした後、破顔した。
「それ、誉め言葉として受け取っとくぜ。まぁ女の子でもないしそこまで気にしねぇよ。傷が残ったとしても俺にとっては勲章だ」
タカはニヤリと笑う。
「勲章?どこが…?」
「男の勲章ってやつだよ、アキにはまだ早いな」
子供扱いされたみたいでムッとする。
「なんだよ。タカも同い年じゃないか」
「ははっ!けどアキに男の勲章は似合わないし、それこそ綺麗な顔に傷ついたら勿体無いさ」
「……………」
綺麗って…綺麗って…誉められてる?
似合わないなんて言われたのに、なんだか照れる。
頬を赤くして俯くアキに、
それを眺めて微笑むタカ。
2人はすっかり打ち解けていた。
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