◇LIQUID AND SOLID
巻き込みと割り込み
――――それよりタカがっ…!
タカは頭をおさえて地面に伏せっていた。
「タカ…!意識はある!?タカ!」
「痛ぅ…あ…ぁあ。ただ少し頭をやられたみたいでな。たぶん軽い脳震とうだろう」
まだクラクラして危ないから、と
なるべく頭を動かさないようにして体を起こさせる。
「……ごめん。巻き込んじゃって。」
「いや、俺が勝手に割り込んだだけだし。気にすることねぇよ」
「勝手だなんて…違うよ!あんな所をみたら誰だって止めに入らなきゃって思っちゃうよ。本当にごめん」
―――タカには…関係ないのに
「そんなこと言うなよ」
タカは何故か苦笑いだった。
「誰だって、っつっても、俺はアキが危ないから助けたんだ。…でも、こんなザマでカッコ悪いけどな。
最後はアキに助けられたしな」
おあいこだ。とタカは言った。
「でも……!」
「まぁまぁ、じゃあごめんよりありがとって言ってくれよ。そっちのが嬉しいしさ」
「タカ…!!本当にありがとう!タカがいなかったら僕どうなってたか…!」
今更ながら死にかけたことが怖くなってきたのと、タカが無事なことへの安心感がどっと体にのしかかってきて、
膝がガクガクと力が入らない。
「大丈夫だ。」
タカは僕の肩を寄せてギュッと抱きしめてくれた…。
制服ごしの体温に安心して涙が出てくる。
「っあれ…泣きたくないのに…止まらない」
しゃっくりまで出てきて、タカの制服がひやりと濡れてくる。
ハッとそのことに気がついてタカから離れようとしたけど、
タカはさらに力強く僕を引き寄せてくれて、泣いてもいいと言われている気がした。
「タカ…ずっと一緒に…友達でいてね」
タカと僕の間で初めて“友達”という言葉が出た瞬間だった。
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