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◇LIQUID AND SOLID
消したい気持ちと心

「また転入生が来たらしいぞ」




「ふーん、そうなんだ」



「――――え?それだけ?」


「それだけって、ほかにまだ何かあるの?またその転入生がイケメンとか?」


「いや、まだ見たことないからわからないけど…」



何故かリョウがムッツリと黙り込んでしまった。


どうかしたのかとちょっと気になって廊下を向いていた体をリョウに向ける。


「リョウ?……っ……ぁ…」





向けたリョウの背後に、タカが通った。




僕は完全にタカと目があったのに、




思わず、目をそらしてしまった。




そらした先にあったリョウに怪訝な目で見られる。


まずい態度だったと、気付いて戻した視線の先に、もうタカはいなかった。


「……あ…もう、…僕、帰るね……」


机の上にまとめた教科書とか全部を、適当に鞄に突っ込む。

端が折れてる本とかもあったかもしれないけど、そんなことにまで頭が回らなかった。


僕は何かから逃げるように、教室を後にした。


何も、何も考えないようにして。


―――――――


後悔してたんだ。


なんで目をそらしたりなんかしたんだろうって。


考えないなんて無理だった。


追いかけてくるみたいに、消しても消しても、罪悪感や後悔が僕の心に襲い掛かってくる。



嗚呼、心ごと、かきむしって、とっぱらってしまいたい。



だからかな、いつもなら気をつけてるのに、今日に限ってタカのことで頭がいっぱいで、


近づく足音に気付かなかった。





あんなに、     のに。



――――――−−・・





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