◇LIQUID AND SOLID
母と僕
「母さん…帰ってたんだ。」
「ええ、ちょっとね。」
コーヒーを入れていたのは母だった。
若くで恋愛結婚をして苦労した末、離婚しようとしたら、僕が産まれてしまって…
結局は離婚したけども、それは僕が中学を卒業した春で。
母の青春を奪ってしまったのは僕だ。
今はいい人がいて、幸せにやっているようだけど…。
僕は母の第二の人生に踏み込むべきではなかったから自立することにした。
母も荷がおりたような安心した、少しの心配をにじませた微笑みで、
「そう…」
と、言うのみだった。
もう母の体には命が宿っているのだし、
僕はただの邪魔者だ。
しかし僕はまだまだ青二才で、自立など出来ようものではない。
学費や生活費、その他の細々としたことも援助して貰って、やっとといったところだ。
とても申し訳ない。
正直、母も父も、家族という風には見れないのだ。
気持ち的には他人様にお世話をかけてしまって、非常にいたたまれない。といった感じで…。
だから僕はほんの雀の涙程度だけれど、自分でまかなおうとバイトをしている。
学校もあるしほとんど稼げていないのが現状だけど…。
義父には小遣いとして自分で使いなさいと言われた…。
君を養うくらいの甲斐性はあるよ、とも。
もしかするとバイトで稼いだ雀の涙は、相手の気を使わせているだけかもしれない…。
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