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◇LIQUID AND SOLID
体育会系とマイク



目尻に固まった涙を拭って教室に帰る。


未だ心あらずなタカに、


結局アドレスを聞くことはおろか、話しかけることさえ、


できなかった。


―――――‐‐‐・・


担任が諸注意を言い、SHR(ショート・ホーム・ルーム)は終わった。


担任が教室の鍵を閉めるために生徒を追い立てる。


離任式や新任式など、先生絡みの行事は、やたらと先生が張り切る。

先生も一人の人間ということだ。




いつもより早く追い立てて、時間に遅れることが無いように整列させるつもりなんだろう。


体育館は既に人でいっぱいだった。


そこ!早く並べ!
歪んでるぞ!
お前らはじっと並ぶこともできんのか!


いつもより格段と煩い。

きっと生徒達にとっては新任式後のクラス発表のほうがメインイベントなんだろう。

生徒の顔は友達に向いて、忙しなく口や手を動かしている。



先生達の怒号には耳も傾けず、舞台での指導には目も向けず。



広い体育館いっぱいに、そわそわと落ち着かない空気が充満していた。



大方生徒が集まって、点呼が始まる。


僕は秋元だから、一番先頭。

A組の先頭。
真ん前が舞台袖の先生達が集まる場所だ。


がなっているいかにもな体育会系の先生方は実に煩いが、

近くに恐ろしい生徒指導の担当教師がいるので、下手に耳も防げない。


時間が経つにつれて、生徒はさらに姦しくなり、

先生は必死に顔を赤くして怒鳴りつける。


体育会系のマイク無しの怒鳴り声がついに生徒のざわつきにかき消されたとき、


キイィーンと頭が痛くなるような音が響いた。


どうやらかなりの音量でマイクが入ったようだ。
怯んだようにさっと静かになった場を好機と、


生徒会が新任式開始を伝えた。

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あきゅろす。
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