◇LIQUID AND SOLID ジョークと握手 「わんちゃんのお散歩ですか?」 「そうだよ。ここは緑が多いし、気分転換にもなるからね。」 ニッコリと爽やかな笑顔。 どこかで見たような気がする…どこだったっけ…。 「君のとこの犬もかわいいね。犬種はシバかな?」 「はい。かんたっていうんです。よかったらペット友達になりませんか?今日が公園デビューなんです。」 かなり緊張したし恥ずかしかったけど、勇気を振り絞って聞いてみた。 「勿論だよ。よろしくね、かんた君。うちのは坊っていうんだ。」 「坊君ですか?」 頭に有名アニメ映画のまるまると太った赤ん坊が浮かぶ。 目の前にいる凛々しいゴールデンを見て、 そのギャップにちょっと笑ってしまった。 「ああ、日本語だったから驚いたかい?」 ジョークがうけてしてやったり、という顔でニコニコしている。 「ちょっとだけ。本当のお名前はどんなのですか?ロバートとかクリスとか…」 「ああ、残念ながら坊が本名だよ。きっと坊は飼い主のセンスのなさを恨んでるね。」 ハハハと軽く笑い飛ばす。 「あ、遅れましたが僕はここの近所に住んでいる秋元です。」 「アルバート・マンセルだ。バートと呼んでくれ。奇遇だね、私もここ辺りだよ。」 握手を求められて慌てて返す。 「握手なんて初めてしました。バートさんはどこからいらっしゃったのですか?」 「ハハ、そんなにかしこまらなくてもいいよ。私はつい最近イギリスから日本へ来たんだ。仕事がこっちに決まってね。」 [*前のゴミ][次のゴミ#] [戻る] |