sideB 高校卒業後、行方の分からない友人の居所は、ひょんな事で知れた。 大学のサークル。 野中義人は、バスケットのサークルにいる。 俺の友人の友人が撮った写メに写っていた。 その日のうちに、住所を聞いて、メルアド聞いて、 でも、 結局、連絡はしなかった。 何度か近くに行って、引き返した。 どうすればいいのか、分からなくて。 そのうち、就職活動が忙しくなって、友人が地元には帰らない事を知った。 お前は、俺を忘れてないよな。 俺が忘れてないのに。 テーブルの上に乗ったままのハガキに、ペンをとった。 残暑見舞い申し上げます。 あの夏も暑かった。 忘れてないよな? 覚えてるよな? 年賀状だって、会いにだって行ったのに、出来なかった俺が、残暑見舞いのハガキだけは、だせた。 覚えてるよな? そんな、いじましい気持ちで。 こない返事を待って、 夏には、自嘲気味に笑って一枚だけハガキを買う。 [*前へ][次へ#] [戻る] |