幸福と呼ぶ朝
体中を未知の感覚が包んでいる。
薄く白い肩が自分の胸の中で規則正しく動く。
温もりを確かに感じるのに、
夢の中にいるような感覚から抜け出せない。
どちらかというと淡白な方だと思っていた。
触れ合う事に違和感や戸惑いは感じなくても、
必要性を感じる事は一度もなかった。
それが、
どうだろう。
性急に体をつなげ、
それこそ獣のように貪ったのに、
まだ、
足りない。
何だかこれは、空腹感に似ている。
裸の肩を指でなぞると、身じろぎする。
小さい頭が揺れて持ち上がる。
こちらを確認すると、のそり、と持ち上がった上半身が乗ってくる。
反対側の肩口に顔を埋めると落ち着いたのか、また直ぐに寝息を立て始めた。
その背中に手を這わせながら、目を閉じた。
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