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唐突に





「おかえり!書類は無事!?」


とんで出てきた讃岐さんが俺から書類の入った茶封筒を奪いとる。
中身を確認した讃岐さんが、ほっと息を俺を見て、
吹き出した。


「なにっその顔!?」


「え?」


「鳩が豆鉄砲喰らうときっとそんな顔よ。出会い頭に恋でもしたの?顔も真っ赤」


まず、細い手が浮かんだ。
次に浮かんだのは、キラキラした黒い瞳だ。
それから、少し開いた薄い唇。
白いシャツ、薄い肩、徐々に全体像になっていく。
顔が、耳が熱くなって、俺は腕で口元を拭った。


「すいません、俺、ちょ、と、早退します!」


「えぇっ!?ちょっと!こらぁー!!」


傘もささずに事務所を飛び出した。
車道に飛び出して、クラクションを鳴らされる。
体が軽くて、ぐんぐんスピードが上がる気がした。
でも、そんな高揚は東屋に飛び込んで、がっくりと地面に落ちた。
既に人の姿はなく、男の座っていた椅子は、何事もなかったようにあるだけ。
はぁ、と溜め息が漏れた。
そのまま椅子に転がると、また、ひとつ大きな溜め息がこぼれた。


「あれ、君、何してるの?」






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