[通常モード] [URL送信]










ゆさり、
肩を軽く押した瞬間だった。



ポタリ、



灰色のスラックスに染みが出来る。



ポタリ、
ポタリ、



続けて落ちる水滴に、朝香はハッとする。



「な、に、泣いてんの?」



ひどく動揺した朝香の声に、ゆっくりと、宇野の顔が上がる。
目を開けてられないのか、何度もまばたきを繰り返す。



「こ、コンタクトが………、」



つー、と頬を流れる涙に朝香が見とれていると、宇野はそうつぶやいた。














「って、コンタクトかよ!?」



思わず突っ込んだ朝香に、ずいっと顔が近付けられる。
それに、顔を真っ赤にして、朝香がたじろいたのを、視界の悪い宇野は気付かない。



「悪い、目、見てくれないか?多分ゴミが…」



「ぉ、おう。」



おずおずと覗き込んだ瞳に、朝香がうつる。
朝香は目頭によったゴミを小指のはらで救いあげた。

実は、睫が長く、形の綺麗な瞳だった。
とか、
考えて、朝香は慌てて頭をふった。



「どうした?顔があかいぞ辻野」



「ナンデモナイデス」



首を傾げた宇野から、朝香は慌てて顔をそらした。















恋の始まりなんて、こんなもん。



[*前へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!