チラリと、伺う。
衝立がついてあるせいで、きちんと顔が見れない。
椅子を引いて背もたれに寄りかかり本を開く。
すると、少しだが、顔が見える。
浅賀は、そんな事に、小さな喜びを感じる。
(こっち向け)
念じてはみるものの、こちらに気づく気配はない。
ふと、机の端に置かれた消しゴムが目にはいる。
(落ちて転がれ、)
(て、そんな簡単にいかねーか)
一心に机に向かう草間の背を見ながら、本を閉じた。
ことっ
「「ぁっ」」
草間の肘が消しゴムを落とした。
思わず、浅賀から声が漏れる。
同時に草間からもはっせられた。
うまく障害物に当たらずに、転げる消しゴムに、浅賀は机に何となく広げていた筆記用具から消しゴムを取り上げる。
「使っとけ、」
言うと、草間の横に置く。
立ち上がった浅賀は消しゴムを追った。
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