何となく無言で、外に向かう。
「その、」
先に口を開いたのは草間だった。
「この前、怒られたんだ。なんか、嬉しくて、」
「まぞ?」
思わずこぼれた言葉に、草間の体が固まる。
しまった、と思ったチロちゃんは慌てて取り消そうと口を開きかけた。
が、
「……そうなのかな?」
「ぶっ」
思わず吹き出したチロちゃんに、むうと眉を寄せる。
(やべ、こいつおもしれぇ)
「わっ悪いっぷっまぁ、あれだきっと、この年になると、あんまり怒られんねーし新鮮だったんじゃね?」
「そう、かな。そうかも。」
草間の口角が、微かに上がる。
(成る程、別に無表情って訳ではなあんだな。)
新しい発見に、なんとなく気分を良くしたチロちゃんは、自分が買ったお茶を草間に渡す。
そのまま、しばらく2人たわいない事を話ながら、講義をサボった。
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