ラブラブには程遠い。
◇
台に手をついて、鏡と睨みあいをしていると、トイレの入り口が開く。
「飲み過ぎだ。」
チロちゃんの声で、顔を上げる。
鏡越しのチロちゃんの顔が怒りに歪んでる。
「お前、付き合う連中は選んだ方がいいんじゃね?」
チロちゃんもね。
黙っている僕をチロちゃんが睨み付ける。
「聞いてんのか?」
「チロちゃんには、関係ないよ。」
ポロリとこぼれた言葉に、チロちゃんが、グッサリ気付いた顔をする。
「……軽薄な関係は楽だよ。自分が傷ついたりしないから。チロちゃんこそ、どうなの?彼女、ウチに来た事あるよね。」
「っ!あれは!酔っ払ってて!」
「でも彼女、チロちゃんの事好きだよね。」
チロちゃんも、まんざらでもないよね。
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