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チロちゃんは叶わない恋をしている。
千尋ちゃん

チロちゃんの恋はいつも一方通行だ。
三年の山村さんにはかっこいい彼氏がいたし、この間の九喜さんには可愛い彼氏がいた。

抱きだいのか、
抱かれたいのか、
兎に角、
チロちゃんは何時も恋をしている。
あっち、と、想ったら、こっち。
こっち、と、想ったら、あっち。

そんなチロちゃんを追いながら、
僕も叶わない恋をする。
今もまた、チロちゃんは恋をしている。
今度は一年の千尋ちゃん。
チロちゃんの名前は小川千宗、千尋ちゃんの名前は、尾川千尋。
運命を感じたんだって。
クーラーの効いた教室の窓を開けて、クラスのブーイングも気にせずにチロちゃんはグラウンドを見下ろしている。
授業だって聞いてないから、先生は厭きれ気味だ。
熱心に千尋ちゃんに見入っていたチロちゃんが不意に此方を向く。


「なに、みてんの?」


「別に、懲りないなぁと思って。」


そう言ってグラウンドに視線を向けると、ちょうど木の影に女子の集団が見えた。
きっとあの中に千尋ちゃんがいるのだ。





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