小説
恋の補習/銀八桂
「よーし、じゃ、この間の国語のテスト返すぞー。」銀八の一声で、今まで騒がしかった教室が一層うるさくなる。
「ゲッ!オレ、今回全然分かんなかったんだよ。」
「こんなの帰ってきたらスグ火あぶりネ。」
「ねぇ、今回難しくなかった?」
「え〜、そう?」
わいわいと騒ぐ生徒達の名を一人ずつ読み上げ、銀八がテスト用紙を返していく。
「桂〜。」
「はい。」
そう答えて受け取ったテスト用紙を見て、桂は言葉を失った。白いテスト用紙の右隅に、素っ気無く書き殴られた赤い円。
―まさか・・・!そんなはずが無い!
桂は真っ青になりながら解答用紙で自分の解答をチェックする。しかし、何度やってみても、点数は0点よりはるかに高い70点になる。
「先せ―。」
「0点の桂は授業後、教室で補習なー。」
抗議しようと立ち上がる桂を遮り、そういい残すと銀八は教室を出て行った。
「うっわー、お前0点かよ〜!」
「ヤバクね?オレでも30点あるぜ?」
「コイツ、意外と馬鹿なんだな!!」
クラスメートのからかいを桂は拳を握り締めて耐えた。
―どうしてっ!?
それでも、授業後、桂は一人、教室に残っていた。
ガラッ。ドアが開き、銀八が入ってくるなり、桂は立ち上がって抗議した。
「先生っ!コレ、どう見ても0点じゃないでしょう!?何でこんなこと・・・?」
教卓にテスト用紙を広げながら潤んだ瞳で自分を見上げる桂を見て、銀八はニヤリと口角を上げた。
そして、白衣のポケットから赤ペンを取り出し、テスト用紙の0の左隣に7を書いた。
「え・・・?」
「お前はそんなにオレと二人きりになりたくねェの?」
「違います!そんなわけないでしょう!?」そう答えながら桂は自分の頬が火照るのを感じた。
「じゃあ、文句はないんじゃねェの?」
「・・・・・。」頬を染めて桂は俯いた。
「こうもしねェと、2人きりになれねーだろ?」そう言いながら、銀八はドアに鍵をかけ、カーテンを閉めた。
「先生っ!何を!?」頬を真っ赤に染めながら叫ぶ桂を抱き締めて、銀八は耳元に囁いた。
「補習を始めるんだよ。恋の補習をな。」
〈あとがき〉
初3Z&初銀八桂です。この話では、既に二人は秘密の恋人同士です。
最近3Zがキてます。今後もどんどん書く予定です。
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