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小説
続・紅の桜散るように下/高桂1+銀桂/裏/死ネタ


 だが、その幸せも長くは続かない。日を追うごとに桂の体は病に蝕まれていった。
 「嫌だ…。」
眠りながら時々苦しそうに呻く桂を、強く抱きしめながら高杉は呟いた。
 「連れて行くな。オレから小太郎を連れ去るな!」
高杉は離すまい、と桂を抱きしめる腕の力を強めた。



 その日、高杉は鬼兵隊の指揮の為、桂の元を離れざるをえなかった。
 「銀時…。小太郎を、頼む。」
出掛け間際、高杉の残した言葉に銀時は強く頷いた。
 「あァ。」



 銀時が桂の部屋へ向かうと、桂は既に目覚めていた。
 「何か食うか…?」
そう尋ねる銀時に、桂は瞳を伏せ、言った。
 「いや…、いい…。傍に、いてくれ…。」
言われるままに枕元に腰を下ろす銀時に桂は辛そうに口を開いた。
 「すまない、銀時…。俺は―」
消え入りそうな声で、なおも続けようとする桂を遮るように銀時は桂を抱き寄せる。
 「もう、言うな…。お前は悪くない。悪いのは…オレだから。」
 「銀―」
 「ごめんな…。お前を不幸にしちまって…。」
 「何を―」
 「ハハッ。最悪な奴だよなァ、オレって…。」
そう自嘲気味に笑う銀時の背に桂は腕を回して抱きついた。
 「ヅラ…!?」
 「銀時…。お前こそ、悪くない…。誰も、悪くないんだ…。それに…」
桂は手を伸ばし、銀時の頬に触れ、続けた。
 「俺は…お前を、愛していた…。本気で、好きだったんだ…。」
 「桂っ!」
銀時は、かたく桂を抱きしめた。
 「ごめんな…、小太郎…。ごめん…。」
 「いや…詫びるのは俺の方だ…。すまない、銀時…。」
 「ごめん…。」
 「ごめん…。」
銀時と桂は長い間抱き合ったまま、ただひたすら謝り続けていた。



 桂を寝かせた後、銀時は部屋を後にした。気が付くと、空は夕日で血のように真っ赤に染まっていた。
 ―どんなに桂と高杉が愛し合っていようとも、桂への想いは変わらない…。
 ―きっと一生、桂を愛し続けるのだろう…。
 ―たとえ、桂が死んだとしても。



 桂は一人、布団の中で突然の体の異変に耐えていた。体中が、酷く熱い。
何もしていないのに、体中が汗でぐっしょりと濡れている。胸も刺すように痛む。ドクン、ドクンと体中の血が騒ぐ。
 ―嫌だ…。まだ俺は死にたくない…。
すうっと遠退いていこうとする意識に逆らうように、桂は何度も呼んだ。
 「し…晋助っ!晋、助!!」
 ―まだ、死ねない…。勝手に死んだら…晋助は、きっと哀しむだろう…。



 その時、部屋の戸がバッと開き、高杉が部屋へ駆け込んで来た。
 「小太郎…?!」
布団の中で汗ぐっしょりになって苦しそうに喘ぐ桂を一目見るなり、高杉は蒼白になった。
 「晋助…。」
喉の奥から声を絞り出し、桂はすっかり痩せ細った手を高杉へ伸ばした。
その手をしっかりと握り、桂をかたく抱きしめながら、高杉は叫んだ。
 「嫌だ…、小太郎っ!逝くな…っ!!」
 「晋助…っ!」
高杉は、桂を抱きしめたまま、桂の口を自分の唇で塞いだ。
 「ん…っ」
熱い舌が絡み合う。何度も何度も。
 「んんっ…、は、ふっ…」
唇を放した途端、酸素を求めて激しく喘ぐ桂の白い肌に、高杉は舌を這わせた。
 「あッ…、やァッ…」
強く肌を吸われて、堪え切れずに甘い声が漏れる。
だが、高杉は止めることなく桂の肌に舌を、そして下腹部に指を這わせていった…。



 「ァッ!アァッ!!痛ッ!」
突然の挿入と激痛に桂は苦しそうに顔を歪める。
 「悪ィ…。我慢してくれ、小太郎…ッ!」
自分も苦しい筈なのに桂の顔を心配そうに覗き込む高杉の首に、桂は腕を回して抱きついた。
 「あッ!しん、すけぇッ…晋助!!」
体中が、熱い。今にも熔けてしまいそうだ。
高杉と桂は、かたく互いを抱きしめ合う。
まるで、もう二度と離れまいというように…。
ドクン、と心臓が跳ねる。段々と遠退いていく意識に逆らいながら、桂は高杉に幸せそうに笑いかけた。
 「晋助…ッ、愛、している…ッ」
 「オレも…ッ、この世の誰よりも小太郎が好きだ…ッ」
幸せそうに笑う桂の目には、うっすら涙が浮かんでいた。
 「小太郎…ッ!」
桂の中で、高杉は再び動き出す。
 「アッ…あンッ…晋助ぇッ!!」
激しく腰がぶつかり合う。
 「あァッ…!いぁぁぁッッ!!」
 「ッ…!」
激しく襲い掛かる痛みと快楽に耐え切れずに、共に達する。高杉の腕の中で、桂は既に虫の息になっていた。
 「小太郎…。」
桂を強く抱きしめ、高杉は言った。
 「すぐ、追い掛けてやるから…。待ってろよ…。」
そして、深く深く口付けた。



 唇を離すと、桂は既に冷たくなっていた。
 「小太郎…。」
冷たくなった桂の頬を両手で包み込む高杉の頬を一筋の涙が伝っていた。



 それから3日も経たない内に、ターミナルが爆破された。
幸い、爆破したのが誰もいない深夜だったので、犠牲者は出なかった。
 ただ、爆破直前、ターミナルの近くで目撃されたという高杉晋助をそれ以来見た者は誰一人としていなかった。



 銀時は長い間、小さな墓の前につっ立っていた。その墓の下では、高杉と桂が眠っている。
ターミナル爆破後、銀時と坂本の手によって建てられたものだ。
 「なんじゃ、おんし、またこげん処にいたんか。」
その声に振り返ると坂本が銀時の背後に立っていた。銀時は口を閉ざしたまま再び墓へと顔を向ける。
 「まーた、自分を責めてるんか?」
 「だってよ…。オレが、あいつらの仲を引き裂いたんだぜ?オレが、あいつらを不幸にしちまったようなもんじゃねーか。」
苦しそうに息を漏らす銀時の肩を軽く叩いて坂本は言った。
 「おんしは悪くないぜよ。それに…高杉とヅラも自分達が不幸だとは思ってないじゃろう。」
坂本は手にしていた小さな花束を、そっと墓に供えた。
 「今頃、天国で痴話喧嘩でもしてるかもしれんの。」
それを聞いて銀時は頬笑み、空を見上げた。
 「かもしれねーな。」
                                               



  〈あとがき〉
 なんだかもう、やっちゃたよ感いっぱいです。裏って色んな意味で難しいな・・・。
って高杉は普段なら桂が痛がってもお構いなしだと思うのですが(笑。
 実は続編があります。ハッピーエンドが読みたい方は是非お楽しみに(笑。



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あきゅろす。
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