4 徐に空を見上げた。 澄み渡る空が何処までも広がっていて、雲の代わりに其処に島が浮いている。 空は自由の象徴とも言えるモノの筈なのに、もう逃げれない、そんな事を思わせる鎖に感じられた。 『…鴻…』 いつの間にか、座り直したベンチの隣に座っていた鴻へと呼び掛ける。 何時もの様に彼女はあどけなく笑み、何?と聞き返してくる。 『行こうか…』 ベンチから腰を上げて、軽く伸びをした。 行き先はもう目の前だ。 歩き出すと鴻が並んで、抱き着いて来た。 …暑苦しい。 それから少し歩いて、私達はとある所で立ち止まった。 神社を思わせる門があって、教員らしき人物が立って案内をしている。 小さく深呼吸をした。 腹を決めなければならない、と思う。 この先で起こる事は分かっているのだから。 トン、と背中に小さな衝撃が走り振り向けば鴻が笑んでいた。 …全く…。 「行こう!」 『…だね…』 門を潜ると、荘厳でいて独創的な建物が目を奪う。 一歩踏み出す。 …どうなるやら。 全てはここから。 空には島が浮かんでいて、先程よりも太陽へと近付いていた。 ♯出発-終- [*前へ][次へ#] |