[通常モード] [URL送信]




 徐に空を見上げた。
 澄み渡る空が何処までも広がっていて、雲の代わりに其処に島が浮いている。
 空は自由の象徴とも言えるモノの筈なのに、もう逃げれない、そんな事を思わせる鎖に感じられた。


『…鴻…』


 いつの間にか、座り直したベンチの隣に座っていた鴻へと呼び掛ける。

 何時もの様に彼女はあどけなく笑み、何?と聞き返してくる。


『行こうか…』


 ベンチから腰を上げて、軽く伸びをした。
 行き先はもう目の前だ。


 歩き出すと鴻が並んで、抱き着いて来た。


 …暑苦しい。



 それから少し歩いて、私達はとある所で立ち止まった。
 神社を思わせる門があって、教員らしき人物が立って案内をしている。


 小さく深呼吸をした。
 腹を決めなければならない、と思う。
 この先で起こる事は分かっているのだから。


 トン、と背中に小さな衝撃が走り振り向けば鴻が笑んでいた。


 …全く…。


「行こう!」


『…だね…』



 門を潜ると、荘厳でいて独創的な建物が目を奪う。
 一歩踏み出す。



 …どうなるやら。



全てはここから。




 空には島が浮かんでいて、先程よりも太陽へと近付いていた。



♯出発-終-


 

[*前へ][次へ#]

5/71ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!