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 分かる範囲で状況を一つ一つ整理しようと試みる。

 覚えているのは、ベッドに入って寝ようとした自分。
 そこで、男の人の声が聞こえ、光に呑まれたこと。

 そして、気が付いたら、この状態である。



 辺りを一通り見回せば、都会の一角に作ったという様な小さな自然公園が広がっていた。
 どうやら私はベンチの上で無防備に眠っていた様だ。


「ちょっと!琳!!無視しないでよ」


 そう言えば、どうして彼女が居るのだろう。
 僅かな疑問が浮かんだが、一緒に飛ばされた以外の何物でもないだろうから、態々本人に聞くまでもない………ともいかないか。
 けれど、その前に、だ。


『鴻…』


「何何?」


 …名前呼んだだけで何この食い付き。まあ、いいや。


『さっき、私の顔に凄く近づいて何しようとしてたの?』


「げっ…」


『まさか……キ』


「な、何言ってんのよ、ちょーっと唇奪……じゃなくて、あっ、その、琳にて、手紙あるの」




 …誤魔化された。本気でする気だったのか。否、でもそれは一先ず置いておこう。


 鴻へ手を伸ばして、開いた。
 その反応に、鴻は小さく驚いた表情を浮かべたが、直ぐに崩してブレザーの内側から綺麗に折り畳まれた一枚の紙を手の上に差し出した。


 私はそれを無言で開いて黙々と読んだ。



『……あー…』



 あー、の後に言葉が続かない。絶句とはこういうことなのだろうか。


 手紙は、勘弁願いたい綴りで始まっていた。



“貴女方に仕事を与えます”




 …ご遠慮します、は駄目だろうか。



 溜め息が止まらない。


 …メンドイ。



 

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