2
分かる範囲で状況を一つ一つ整理しようと試みる。
覚えているのは、ベッドに入って寝ようとした自分。
そこで、男の人の声が聞こえ、光に呑まれたこと。
そして、気が付いたら、この状態である。
辺りを一通り見回せば、都会の一角に作ったという様な小さな自然公園が広がっていた。
どうやら私はベンチの上で無防備に眠っていた様だ。
「ちょっと!琳!!無視しないでよ」
そう言えば、どうして彼女が居るのだろう。
僅かな疑問が浮かんだが、一緒に飛ばされた以外の何物でもないだろうから、態々本人に聞くまでもない………ともいかないか。
けれど、その前に、だ。
『鴻…』
「何何?」
…名前呼んだだけで何この食い付き。まあ、いいや。
『さっき、私の顔に凄く近づいて何しようとしてたの?』
「げっ…」
『まさか……キ』
「な、何言ってんのよ、ちょーっと唇奪……じゃなくて、あっ、その、琳にて、手紙あるの」
…誤魔化された。本気でする気だったのか。否、でもそれは一先ず置いておこう。
鴻へ手を伸ばして、開いた。
その反応に、鴻は小さく驚いた表情を浮かべたが、直ぐに崩してブレザーの内側から綺麗に折り畳まれた一枚の紙を手の上に差し出した。
私はそれを無言で開いて黙々と読んだ。
『……あー…』
あー、の後に言葉が続かない。絶句とはこういうことなのだろうか。
手紙は、勘弁願いたい綴りで始まっていた。
“貴女方に仕事を与えます”
…ご遠慮します、は駄目だろうか。
溜め息が止まらない。
…メンドイ。
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