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―――彼女は死んだ。


病気だった。
治らない、重い病気だった。

好き、と初めて告げた日、それは告げられた。
それは言い様のない衝撃だった。
少年もずっと彼女のことが好きだったから。

少年は、それを告げられた上で、好き、と言った。
彼女は泣いた。
自分はもうすぐ死ぬ。
それを知っても、好き、と言ってくれたことが嬉しくて、申し訳なくて、溢れ出す感情を抑えることができなかった。

好き、と言ってくれた人が自分にとっても初恋の人だったのが堪らなく嬉しかった。

想いが通じてくれた。なのに、自分がもうすぐ死んでしまう。それが哀しくて。

思わず泣いてしまった。


二人の時間は長くはなかった。
けれど、何にも代えられない、大切な時間だった。

学校帰り。
いつも二人は、寂れた風車の下で色んなことを語り合った。
それは、大抵はどれも他愛の無いことだった。
二人は、在りはしないと分かっていながら、自分達の未来のことも、来る度に語り合った。



それから時は流れ、予定は狂うことなく、無情に、その未来を消した。



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あきゅろす。
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