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偽る戯言



偽りの誠実を
振り撒き
良い子を演じるのは
自分を守りたいから

傷つくことを恐れて
歪んでみせた
素直は愚かだと
言い聞かせ
燻る熱を冷まして
色を消した

自分なんて亡くても
世界は廻る
そんな当たり前のことに
死に急ぐ哀れなこの身は
どこまでも
独り小さな世界へと
浸かっていく

騙されるのが怖くて
騙し続けた
裏切られるのが怖くて
信じることを止めた

人間なんて表層ばかりの
下らない生き物だと
心を閉ざして
近づく全てを傷つけ
独り傷ついた

瞳を閉ざして
見えるモノなんて
何もないのに
独り傲慢に救いを求めた

自分なんて亡くても
誰一人困らない
そんな誰かの創造に
死に急ぐ哀れなこの身は
どこまでも
独り小さな世界へと
沈めていく

手首に刻んだ傷が告げる
哀しい自己満足の逃避劇に
流れる涙は素直な悲しみ
独り踊る小さな世界に
救いの手など
在りはしない

いつしか
引いた境界線
その先へ出る為の
偽らざるモノ
失くしてはないと
信じた先で
偽りの躯は
身体を手にする




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