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学園伏魔殿


『鴻……はああぁぁ…』


 琳はその名前に大きく溜め息を吐いた。
 そのまま、ベッドの横で囁く様に鳴り続ける携帯電話をただ見下ろしていた。
 最近街の本屋で聞いて何となく気に入って設定した曲が、何度も同じフレーズを繰り返している。


 …“フールシーズンズ”だっけ。


 珍しく覚えたバンド名が曲に釣られて頭に浮かんだ。それぞれ名前くらいしか分からないので、それ以上が浮かぶ事はなかった。

 その間も曲は鳴り続けていた。


『…しつこい』


 携帯電話のサブディスプレイはまだ同じ名前をスクロールさせいる。
 いつまでも着信音が鳴ると言うことは、メールではなく、電話の方なのだろう。


『…面倒臭いなぁ…』


 また身体中の空気を全て吐き出すかの様な溜め息を吐いた。
 そうして、だらけきった様な遅々とした動きで携帯電話に手を伸ばした。


『うあぁ…』


 手に取った携帯電話を開いて、ボタンを押して耳に当てた。


「琳っ!!!遅ーーいっ!!!」


 それも束の間、余りに甲高い声に琳は携帯電話を離した。
 静かになった所で、再び近づけ、口を開く。


『…誰…?』


「ウチ!ウチだよ!アンタの友達!」


『私、友達いないし、詐欺とかもいらないから、じゃ』


「こらあっ!切らないで、鴻、椋月鴻だから、ていうか、友達でしょ!酷くない?」


『五月蝿い』


「…ごめん」


『それで、何?』


 一通り、最早通例となった遣り取りを交わして、琳は本題を尋ねた。

 正直な所、本題等に興味は無い。この毎回恒例みたくなっている遣り取りも面倒臭い。けど、鴻は一応友人の様なものと思ってはいるので、話は聞く。

 それが礼儀だと思う。

「凄いの見つけたの!」


『さよなら』



 だが、琳は電話を切った。

 時には突き放すのも必要だと思う。


 その時が琳には多すぎるのだが、本人には自覚が無かった。
 或いは自覚していて、気にしていないだけなのかもしれない。


 数秒後、電話はまた鳴り始めた。


 

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あきゅろす。
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