9 「これが小由良心葉の証明だぞ」 私の足許でリボーンさんは十代目さんと獄寺さんとを見ながら言った。 これが、と言われてもボクには分からない。 対して二人の表情には翳りが浮かび始めた。 「これは…」 獄寺さんが眉間に皺を寄せ、顎に手を当てた。 何かを考え込んでいる様な仕草だ。 「こんな…」 十代目さんは言葉を詰まらせ、足許から私の方へ視線を移す。 けれど目が合うと、ご、ごめん、と言いながら顔を真っ赤にして直ぐに視線を足許へと戻した。 それにも直ぐに堪えれなくなったのか、結局窓の外へと顔を向ける。 何か、困っている様な表情だ。 「あ、あの…」 流石に、ボクも気になった。 ボクの足の裏には何が有るのか。 どうして、それがボクが小由良心葉だと証明するのか。 「ボクも見て…良い、です…か?」 「ん?」 リボーンさんの大きな瞳がこちらを振り返る。 胸の辺りが僅かに跳ねるような感覚がした。 「………ん、あ」 逆に、獄寺さんはボクの方とは反対方向、丁度十代目さんと同じ方を向いた。 「にしても、良い天気ですねー」 何か固い口調で、獄寺さんは十代目さんに言った。 「う、うん。そ、そうだね」 すると、十代目さんは困った様に笑って、チラッとこちらを見て、直ぐに窓の外へと向き直った。 …今日は今にも雨が降りそうなほど曇っているんだけど。 二人の顔がほんのり赤らんでいたのは何でなのだろう。 そう思いながら、ボクはリボーンさんへと視線を戻した。 「アイツ達は気にしなくていいぞ。思春期だからな」 ニッ、とリボーンさんが微かに笑んだ気がした。 …どういうことだろう? ボクにはよく分からない話なんだろうと、一先ず納得した。 [*前へ][次へ#] |