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「それで、大丈夫なの…?」
恐る恐るという風に十代目さんがボクに尋ねる。
その不自然な程の低姿勢が十代目さんの人柄を象徴し、印象付ける。
『うん』
そして、軽く首肯すれば、良かったあ、とホッと胸を撫で下ろす。
ボクの事で、十代目さんの事じゃないのに、まるで自分の事の様に心配し、安心している。
…不思議な人だ。
「いつまでそうやってんだダメツナ」
「ギャッ!?」
十代目さんがリボーンさんに跳び蹴りを受けてまた飛んだ。それに、獄寺さんが慌てて駆け寄り、背中を支えて起き上がらせる。
…よく飛ぶ人だなぁ。
「お前、いい加減にしろよっ!」
…本当に不思議だ。
「お前らがいつまでもそうやってると話が進まねーんだ」
「何の話だよ!!」
胸を張って主張するリボーンを少し高い目線から見下ろしながら十代目さんは両手で床を叩いた。
かと思えば直ぐに、いちいちうるせーぞ、と頬を殴られて、ギャフッ、と声を漏らして俯く。
…それに、不自然な関係だ。
遠目に見ながら、今自分を包み込む分からない、という状況とは別に、不思議な事だらけだなと首を傾げた。
そんなやりとりが数分続き、その後、三人はボクの足許に集まった。
十代目さんと獄寺さんは初め頬を紅潮させ、宙を仰いでいたけど、リボーンさんに後頭部を殴られ、抑えられ無理矢理ボクの足へと視線を移した。
…何で殴られたりするのは十代目さんだけなんだろ?
ボクは三人を瞳に映してそんなことを思っていた。
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